見飽きた。夢は、どんな風にでも在る。
持ち飽きた。明けても暮れても、いつみても、街々の喧騒だ。
知り飽きた。差し押さえをくらった命。―ああ、『たわ言』と『まぼろし』の群れ。
出発だ、新しい情と響きとへ。
ランボオ「飾画」
眠りの麻薬に身を落とし、桜は幾度、散っただろう。気づけば三十、気づけば四十。死が俺たちを起こすまで、戯けた福祉国家の幻想に道化を演じつづけるというのか。生は竜宮城のように華やかを魅惑しながら、開けてしまえば玉手箱のように、時間の慢性的な歩みを瞬間に吹き飛ばしてしまう。享年三十七のランボオを思えば、俺はますます魂が愛おしい。老年の杞憂に眠りを貪るダサい真似はよそう。今日朽ちても俺たちはよく生きた。
2024.5.19
コメントを残す