あてどもない旅路には、雲一つない空が苦しくてならない。涙の数だけ思いは巡る。少年の夢。少女の笑顔。永遠に膨らむ宇宙のなかで、幸福な眠りに一生を終えられたら。だが、遅かれ早かれ、俺たちは不幸によって目を醒ます。優しい日常を壊してしまう必然によって。桜が散る度、老いを重ねる。果たして希望はあるものか。時よ止まれと、どれほどの人間が願ったことだろう。別離と悲しみの瞬間は、今この時も、静かに歩みをつづける。母の手紙を胸にしまえば、俺は涙を隠せない。ああ、俺たちは救われるのか。堕落した人間に救いの道はあるのか。
2024.5.10
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