眠れぬ夜は目を開けて[681/1000]

ああ、また、生活へ攀じて行くのか、俺達の醜さに眼を据えるのか。この毒、この口づけ、重ね重ねも呪わしい。この身の弱さと、この世の辛さ。ああ神様、お情けだ、この身を匿い給え、俺にはどうにも扱えない。

ランボオ「地獄の季節」

俺には胃に堕ちた食い物が人間の最深部に到達する前に捨てられてしまう光景が、救いがたい冒涜に思われた。胃に堕ちるものは、安逸であり、眠りであった。己の海と砂漠は、「飢え」と「渇き」に渇いた。俺は酒池肉林のご馳走と、山から湧き出た飾り気のない水、それから自らの手で刈り取った米を愛した。眠れぬ夜は目を開けた。星屑に揺れ、身体は一日の労苦に相応な眠りを手にした。深みへと誘うものは、蛍のような美しい光であった。

 

2024.4.30

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