健康は脅された。恐怖は来た。幾日もの睡りに堕ちては、起き上り、世にも悲しい夢から夢を辿った。臨終の時は熟した、この世の果て、シンメリーの果て、旋風と影との国へと、怪しげな道を、俺のひ弱はこの身を駆った。
ランボオ「地獄の季節」
心臓を鷲掴む悪魔の右手を、どうにか引き離せないものだろうか。あらゆる思念は悲観に澱み、胃は底冷え背は腐り、風が吹く日が随分と懐かしくなった。いつしか桜は散り、森は息を吹き返す。永遠を旅する花のうちに英雄の背を拝んだ。俺は涙し故郷に祈った。力の大地を。雄々しき掲揚を。ああ、これ以上粗末にしてくれるな。魂よ、血を舐め、息を吐け。
2024.4.25
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