★隠遁生活の不思議な体験[539/1000]
不思議な体験だった。 私は昨晩、確かに夢を見ていた。詩作の夢だ。友と一緒に、森の中で人生を想う俳句を考え、ちょうど披露しようとしていた。そのとき私は目が覚めて、何を俳句にしたのかも忘れ、しかし、私の頭は詩作…
不思議な体験だった。 私は昨晩、確かに夢を見ていた。詩作の夢だ。友と一緒に、森の中で人生を想う俳句を考え、ちょうど披露しようとしていた。そのとき私は目が覚めて、何を俳句にしたのかも忘れ、しかし、私の頭は詩作…
2023年10月からはじめた隠遁生活も、クリスマスイブに一度区切ることを考えると、いよいよあと二週間となった。正直な心境を打ち明ければ、私は外に飛び出したくて仕方がない。人間に会いたくて仕方がない。 そんな…
天よ 雷霆を地に叩け 幸福に棲みつく暗い影を 情熱の底で嘲笑う無気力を 道徳の格を蝕む淫蕩を 悉く焼き尽くしてしまえ 海よ 嵐を連れて猛り狂え 苦悩に酔い痴れた放埓に 悪意に閉ざされた月光に 不幸に暴かれた…
弓を絞れ わが身をかけて引き絞れ 今にも切れんとする 雪山の峰のように張り詰めた弦を ぎりぎりまで引き絞り 人類の軍鼓を胸に叩き 聡明な眼に光る 一番遠いところへ 打ち放てよ 剛毅果断たる 運命の大将軍よ …
ああ、幸福よ。既に成就している幸福のなかで、どうして幸福のために生きられよう。 ああ、自由よ。既に成就している自由のなかで、どうしてこれ以上自由を欲せよう。 幸福と自由が連れだした生の倦怠、倦怠の連れである…
「ハムレット」「マクベス」「リア王」「オセロウ」、シェイクスピアの四大悲劇を改めて読み直している。 私はどうも「リア王」に共振する部分が多く、リアの台詞をつい暗唱した。王の座から乞食同然、地に堕ちるリアが荒野をさまよい、…
師走になってからは、一気に冷えてきた。おもてに放置した飲み水は、明け方カチカチの氷になる。火を起こして、束の間の暖をとり、冬と生命の戦いが本格的に繰り広げられるようになった。 隠遁生活も三ヵ月目に入り、さい…
生の中にいては死を見つめ、死の中にいては生を見つめる。幸福で聡明で敬虔な世界を前にしながら、背後にそびえ立つ女神像の存在と、地獄を思わせる凄惨な畏怖を忘れないこと。 これが、生を自己目的とせず、死の悪意にも堕落しない世界…
連日の無秩序な、文章の数々をお赦し願いたい。私自身、いまだ、思想を固めている途上の人間、被教育側の人間である。恥ずかしながら、こうして考えを投稿させてもらっている立場である。 トーマスマンの「魔の山」に甚大な影響を受ける…
愛することについて、様々な意見を耳にする。よくあるものは、「まず自分を愛せ」というものだ。これは、確かに真理をついているように思うが、自分を愛するための道筋は、まだ深い霧に包まれている。 今日、私の頭にあるのは、その第一…