太陽め、お前は苦しめる。[683/1000]
秋だ。俺たちの舟は、動かぬ霧の中を、纜を解いて、悲惨の港を目指し、焔と泥のしみついた空を負う巨きな街を目指して舳先をまわす。ああ、腐った襤褸、雨にうたれたパン、泥酔よ、俺を磔刑にした幾千の愛欲よ。 ランボオ「地獄の季節」…
秋だ。俺たちの舟は、動かぬ霧の中を、纜を解いて、悲惨の港を目指し、焔と泥のしみついた空を負う巨きな街を目指して舳先をまわす。ああ、腐った襤褸、雨にうたれたパン、泥酔よ、俺を磔刑にした幾千の愛欲よ。 ランボオ「地獄の季節」…
ああ、遂に、幸福だ、理智だ、俺は天から青空を取除いた。青空などは暗いのだ。俺は自然の光の金色の火花を散らして生きた。歓喜のあまり、俺は出来るだけ道化た、錯乱した表現を選んだ。 ランボオ「地獄の季節」 ああ、陽が沈む。真赤…
ああ、また、生活へ攀じて行くのか、俺達の醜さに眼を据えるのか。この毒、この口づけ、重ね重ねも呪わしい。この身の弱さと、この世の辛さ。ああ神様、お情けだ、この身を匿い給え、俺にはどうにも扱えない。 ランボオ「地獄の季節」 …
一度はこの俺にも、物語を想い、英雄を想い、幸運に満ち満ちて、黄金の紙に物書いた、―愛らしい少年の日がなかったろうか。何の罪、何の過ちがあって、俺は今日の日の衰弱を手に入れたのか。 ランボオ「地獄の季節」 思えば、俺の少年…
俺の命は擦り切れた。さあ、皆んなで誤魔化そう、のらくらしよう、何というざまだ。戯れながら暮らして行こう、きっ怪な愛を夢みたり、幻の世を夢みたり、不平を言ったり、辻芸人とか乞食とか芸術家とか盗賊とか、さては坊主とか、様々な…
風は誘う季節のなかへ 陽は笑う春の宴を 草木は踊る永遠に 花の蜜を飲み交わし、さあ皆踊れ えいさっこらさ えいさっこらさ そんなことはほっぽりだして お道化たままに唄えばいいさ そんなことは忘れてしまって …
俺の精神が、この瞬間から絶えずはっきりと目覚めていてくれるものとしたら、俺たちはやがて真理に行き着くだろうに。真理は俺たちを、泣いている天使らをつれて取り巻くであろう。 ランボオ「地獄の季節」 ああ、まったくその通りだ。…
健康は脅された。恐怖は来た。幾日もの睡りに堕ちては、起き上り、世にも悲しい夢から夢を辿った。臨終の時は熟した、この世の果て、シンメリーの果て、旋風と影との国へと、怪しげな道を、俺のひ弱はこの身を駆った。 ランボオ「地獄の…
俺は旅をして、この脳髄の上に集まり寄った様々な呪縛を、祓ってしまわねばならなかった。俺は海を愛した。この身の穢れを洗ってくれるものがあったなら、海だったに相違いない。 ランボオ「地獄の季節」 熱狂は去った。雲は消え失せ、…
ああ、純潔よ、純潔よ。 俺に純潔の夢を与えたものはこの目覚めの時だ。―精神を通して、人は『神』に至る。 想えば身を裂かれるような不幸。 ランボオ『地獄の季節』 罪の車輪と貪る惰眠。黄泉を渡った英雄たちも、かつては人並みの…