美しい魂の誕生を神は待っている②[589/1000]
歴史上、政治とは要するに、パンを与えるいろんな方策だったが、宗教家にまさる政治家の知恵は、人間はパンだけで生きるものだという認識だった。この認識は甚だ基調で、どんなに宗教家たちが喚き立てようと、人間はこの生物学的認識の上…
歴史上、政治とは要するに、パンを与えるいろんな方策だったが、宗教家にまさる政治家の知恵は、人間はパンだけで生きるものだという認識だった。この認識は甚だ基調で、どんなに宗教家たちが喚き立てようと、人間はこの生物学的認識の上…
人間を無力にするものは何だろう。”what makes humans impotent”のwhatとは何だろう。 「神の老衰」だろうか?私は人間がつくられた哲学を、神が自身を感じるものだと考えてい…
誕生日を祝う慣習は日本にはなかった。戦前、厳密には1949年までは「数え年」であったため、正月に皆がいっせいに歳を重ねたのだ。1949年以降も、しばらくは、以前の慣習を継承し、個人の誕生日を祝うことはなかった。気になって…
2024年1月27日。今日で「俺」は人間を30年やっていることになるらしい。 「らしい」と書くのは、時間感覚が当てにならないからである。「俺」とあえてカッコ書きにするのも、より大きな存在に成りきるためである。30年前、無…
「どこから来た」 と訊ねてくる。 「どこからだと思うか」 かつて日本の大学で古代ギリシャ語なるものを学んでいたことのある彼が、たどたどしい現代ギリシャ語で答える。とたんに、周囲で声が上がる。 「この客人はギリシャ語がわか…
異国に暮らして不自由なことはないのですか。私が訊ねると、彼は自信に満ちた口調で言った。何も不自由はしていない。なぜなら私にはテレビも必要ないし、新刊本も必要ないからだ。ただ、昔読んだ古い本を読み返していればそれでいい。 …
後ろの席のおじさんが、私にライターを見せ、盛んにジャポン、ジャポンと言う。これは日本製だぞ、と言いたいらしいのだ。受け取って、底の刻印を見ると、「MARMON」とある。そんな会社の名は聞いたこともない。しかし、これは日本…
人間が「無力」になることは己の神を殺すことである。われわれ人間は、時間と空間をもった焔として現象界に投げ込まれ、死に向かっていく生命としての「力」を授かった。ゆえに、力を賛美して生きることは、神を讃えることである。無力に…
厳格な決めごとにも、一つ例外を設けてしまえば、みるみる崩れていってしまう。1000日間毎日つづけることと、適当に休みを取りながら、1000日間つづけることとでは、私には前者のほうが格段に現実的に思える。 なぜなら、前者に…
同情とは、同じ十字架を背負うことだ。同じ十字架を背負うとは、俺もお前と同じ苦しみを背負う人間だと認め、肉体を一にすることだ。肉体が一になるからこそ、魂のレベルで繋がり、頑張ろうという勇気が湧いてくるのだ。同じ痛みを味わっ…