涙は落ちながら昇る[698/1000]
ああ、妾は苦しい、妾はわめきます、妾はほんとに苦しいのです。でも、世間で一番さもしい人達の侮蔑を、背負い切れぬほど背負ったこの妾に、もう何もこわがる事はない筈です。 ランボオ「地獄の季節」 生きる苦労は涙に還り、いつかは…
ああ、妾は苦しい、妾はわめきます、妾はほんとに苦しいのです。でも、世間で一番さもしい人達の侮蔑を、背負い切れぬほど背負ったこの妾に、もう何もこわがる事はない筈です。 ランボオ「地獄の季節」 生きる苦労は涙に還り、いつかは…
お赦し下さい、天に在す『主』よ、お赦し下さい。お赦し下さい。お赦し下さいお願いです。涙が出て仕方がありません。ああこののちも、もっともっと涙を流すことが出来ますように。 ランボオ「地獄の季節」 ああ、純潔よ、お前だけは泣…
観客のない見世物屋 一人演じる道化の涙 ああ、なんたる痴態 言葉の刃物が胸を刺す 時代錯誤の痛みと悲哀 千の孤独に放られて 赤い空に手を伸ばす 森を抜ける風だけが 人の無邪気を知るようだ 己は望む 慎ましい生活を &nb…
もう秋か。―それにしても、何故に、永遠の太陽を惜しむのか、俺たちはきよらかな光の発見に心ざす身ではないのか ランボオ「地獄の季節」 なぜシャバにいるのだろう。なぜこの身は、監獄に捕らわれていないのだろう。身体は縛られず、…
生命の『王たち』、三人の導士、心と魂と霊とは、静まり返り、同じ沙漠から同じ夜へと、俺の疲れた眼は、いつも銀色の星の下で目覚めている。砂浜を越え、山を越え、新しい仕事、新しい叡智、僭主と悪魔との退散、妄信への終焉を謳うため…
折れても構わん。挫けてもよい。大いに泣け。何度も駄目になるのなら、何度でもやり直せ。己の罪を嘆くより、罪を嘆いて無為に過ごすほうが、よっぽど罪が重いであろう。俺たちの無邪気を、素朴を、力を、悪意のために手放すな。堕落者よ…
死を愛する気力も失せたとは、まるで売れのこりの娘同然だ。 『神』がもし聖らかな天空の平穏を、祈りを、与えてくれたのなら、―古代の聖賢のように。―聖人、強者か、ふん、遁世者、いかさま芸術家か。 道化がいつまで続くのだ。俺は…
あてどもない旅路には、雲一つない空が苦しくてならない。涙の数だけ思いは巡る。少年の夢。少女の笑顔。永遠に膨らむ宇宙のなかで、幸福な眠りに一生を終えられたら。だが、遅かれ早かれ、俺たちは不幸によって目を醒ます。優しい日常を…
暗室に閉ざされた魂は救いを求めて、憔悴へと向かう肉体は舟へと向かう。救いようのない淪落には涙を与えてやる値打ちもないが、心臓が抉られるがままに曠野へ進むというのか。大いなる雫は男女に染み入り、俺たちは性別を獲得する。だが…
忘れ去られた砂漠の風が、心臓の奥深くを抉る。大地のひび割れた荒涼な地に、俺の手足は吸い込まれていく。追憶の鐘は鳴る。死に誘われて、今一度、魂を取り戻しに行くときが近づいている。借り物の生活を捨てて、源泉から流れ落ちたとこ…