深山幽谷 寂寞を 破るる春が胸を汲む[896/1000]
生活と詩が調和することを志したはずだった。だが、蓋を開けてみれば、己のなかの不滅性が弱まっていることを自覚している。大工仕事をこなす日々は、いい生活ぶりにちがいない。だが、生活を生活と認めてしまうことは、翼を失うことにな…
生活と詩が調和することを志したはずだった。だが、蓋を開けてみれば、己のなかの不滅性が弱まっていることを自覚している。大工仕事をこなす日々は、いい生活ぶりにちがいない。だが、生活を生活と認めてしまうことは、翼を失うことにな…
杉の90角を加工し、柱となる三角軸をつくっている。二本の柱がピタッと合い、互いに支え合うように、柱の足と天辺を角度をつけて伐っていく。底辺3m、高さが4mなので、足下の角度は68度、天辺の角度は22度。ちょうど「A」の形…
寒さと暑さと、飢えと渇えと、風と太陽の熱と、虻と蛇と、これらすべてのものにうち勝って、犀の角のようにただ独り歩め。 音声に驚かない獅子のように、網にとらえられない風のように、水に汚されない蓮のように、犀の角のようにただ独…
床が完成した。大引きに縦張りしたあと、さらにその上から横張りした。3センチと3センチ。床の厚みだけで6センチある。正直、私にはもったいない木材のつかい方だ。だが、合板を使わず強度を出すことと、断熱材を少なくし家を温かくし…
農家で世話になり、人間は自然と一つであるという、日本人的な感覚が改めてよく分かるようになった。夏は汗を流しながら野菜を収穫する。冬は寒い思いをしながら来年の準備をする。冷暖房の完備された室内で、夏も冬も変わらぬ仕事をする…
二つ二つの場にて早く死ぬ方に片付くばかりなり。図に当たらぬは犬死などというは上方風の打ち上がりたる武道なるべし。判断が迫られる場面は毎日のように訪れるが、他人の手に委ねてばかりいると、いつまで経っても判断力が身につかない…
八ヶ岳が冠雪した。山頂から下ってくる風が一段と冷たくなったようだ。毎日が寒い。身体が徐々に底冷えていく。身体が冷え込むと気の張りようも弱くなる。熱い湯船に浸かって、こたつで蜜柑を食べられたらどれほど幸せだろうかと、そんな…
二つ二つの場にて早く死ぬ方に片付くばかりなり。そう願っても死に切れぬ、現代人としての堕落につくづく嫌気がさす。 今日の住宅は省エネである。高気密高断熱を施し、夏は涼しく冬は暖かく、健康に良いとされる住宅である。だが考えて…
日が暮れて、世界が闇に包まれると、外に出るのが怖くなる。だが、森から街へ抜け出してみれば、道路は当たり前のように車で溢れ返り、店は人で賑わっている。そりゃそうだ。時刻はまだ18時をまわったところなのだから。だが、灯りのな…
大引きがみごとにはまった。土台側に欠きをつくっただけの単純な継ぎ手だが、一つの構造物を完成させられたようで嬉しくなる。これで土台の骨格は完成した。あとは、水平方向の歪みを防ぐために、火打ち梁を通すかどうか。剛床工法なら無…