風は人間に青春を吹き込む[720/1000]
あの偉大な破壊の下では、運命はあったが、堕落はなかった。無心であったが、充満していた。猛火をくぐって逃げのびてきた人達は、燃えかけている家のそばに群がって寒さの煖をとっており、同じ火に必死に消火につとめている人々から一尺…
あの偉大な破壊の下では、運命はあったが、堕落はなかった。無心であったが、充満していた。猛火をくぐって逃げのびてきた人達は、燃えかけている家のそばに群がって寒さの煖をとっており、同じ火に必死に消火につとめている人々から一尺…
なんという空しさ なんという空しさ、すべては空しい。 太陽の下、人は労苦するが すべての労苦も何になろう。 一代過ぎればまた一代が起こり 永遠に耐えるのは大地。 日は昇り、日は沈み あえぎ戻り、また昇る。 風は南に向かい…
亡霊が欲するは身体 血によって潤い 肉によって栄える生 亡霊が焦がれるは生活 陽を堂々と浴びる蒲公英の幸福 亡霊が求めるは情熱 追憶から悔いを焼き払う 地上の仕合せ 亡霊を慰めるは永遠 月に酔い痴れ この世の苦しみを癒す…
俺の精神が、この瞬間から絶えずはっきりと目覚めていてくれるものとしたら、俺たちはやがて心理に行き着くだろうに。真理は俺たちを、泣いている天使らをつれて取り巻くであろう。 ランボオ「地獄の季節」 老年、空身の果てに遺影を想…
では、俺を信ずる事だ、心を和げ、導き、癒すものは信仰だ。皆んな来るがいい、―子供たちも来るがいい、―俺は君たちを慰めよう、君たちのために、人は、その驚くべき心を放つであろう。―哀れな人々、労働者たち。俺は祈りなど望みはし…
「神の像は」と、ミカエルが答えた。「人間が自分の奔放な欲望に仕えようとして自らを卑しめ、その仕えたものの像を自らの像とした時に(主としてこのような不埒な悪徳がイーヴの罪を誘発したのだ)、人間を見棄ててしまった。」 ミルト…
イーヴはそう言って、この呪われた時に無分別にも手を差しのべて果物を取り、引きちぎり、口にした。大地は傷の痛みを覚え、「自然」もその万象を通じて呻き声を洩らし、悲歎の徴を示した、すべては失われた、と。 ミルトン「失楽園」 …
お前が最初の罪科を犯してから、真の自由が失われてしまったということ、そしてその自由は正しい理性と常に絡み合って存在し、理性を離れて別個に存在するものではない、ということだ。人間の場合、理性が曇ったり、理性の権威が失墜した…
アダムに向かってミカエルが言った。「たとえ自然に合致しているように見えても、何が最善であるかは、快楽を基準にして判断してはならぬ。現にお前がそうだが、人間というものは聖らかで純でもっと気高い目的、神に帰一するという目的の…
願わくば神の怒りも私だけに加えられんことを!ああ、だがこれも愚かな願いだ!アダムよ、いったいお前は、地球よりも重い、いや全宇宙よりも遥かに重い、この罪の重荷を―たとえあの女に分担して貰うにしても―負えると思っているのか?…