文明は自然を制服したが、私はいまだ自然の僕にある。[887/1000]
日が暮れて、世界が闇に包まれると、外に出るのが怖くなる。だが、森から街へ抜け出してみれば、道路は当たり前のように車で溢れ返り、店は人で賑わっている。そりゃそうだ。時刻はまだ18時をまわったところなのだから。だが、灯りのな…
日が暮れて、世界が闇に包まれると、外に出るのが怖くなる。だが、森から街へ抜け出してみれば、道路は当たり前のように車で溢れ返り、店は人で賑わっている。そりゃそうだ。時刻はまだ18時をまわったところなのだから。だが、灯りのな…
大引きがみごとにはまった。土台側に欠きをつくっただけの単純な継ぎ手だが、一つの構造物を完成させられたようで嬉しくなる。これで土台の骨格は完成した。あとは、水平方向の歪みを防ぐために、火打ち梁を通すかどうか。剛床工法なら無…
青森で会った、一から自分で家を建てた先達から、木造は金具を使うよりも、継ぎ手を組んだほうがずっと丈夫になると聞いた。このたび家をつくるにあたっても、教訓を心に留め、土台には「相欠き継ぎ」や「大入り引き」に挑戦した。実際、…
氷点下。土台に二度目の柿渋を塗った。塗っていくそばから、木材の表面が凍っていく。朝陽に照らされるとキラキラして美しい。だが、塗りむらになってしまうので困る。寒さが本格的に厳しくなる前に、塗装をやり遂げる必要がでてきた。 …
土台に柿渋を塗った。あまりの素朴さな色合いに涙が出そうになった。人間、涙を流すのは、素朴な存在に触れたときである。力の根源をたどり、意志の柔和さを得ることで、歪で不条理な現実を吹き抜けていける存在であることを思い出すので…
朝陽が顔出してから山の向こうに沈むまで、ひたすら家づくりをしている。 今日はすべての束柱を焼き終えた。元々の無垢な状態(土台)と比べると、随分と黒くなったことが分かる。炭化した部分は、雨や陽ざしを物理的に遮断し木材を守る…
太陽が沈むと、再び太陽が昇るまで、世界は熱を失いつづける。もし、翌日太陽が昇らなければ気温はさらに下降し、氷点下にすぐに到達してしまう。人間の体温も同じで、断続的に低温にさらされつづけることのほうが、局所的な極寒よりもず…
板倉工法なる家づくりがあるらしい。伊勢神宮や正倉院にも用いられる伝統的な工法だ。120角の桧を柱とし、厚さ30ミリの杉板を、柱に掘られた溝に沿わせて落とし込んでいく。床、壁、天井のすべてに、厚手の杉板を用いるのが特徴で、…
2024年11月15日。狩猟解禁日だ。今日という日を待ちわびた全国の猟師たちが、一斉に山へと潜り込む。早ければ今晩にも、ジビエ料理が夕飯を賑わすことだろう。一年前の今日、猟師になることを夢に見た。一年後の今日は山に入るか…
長距離型の人間と、短距離型の人間では、エネルギーの出力方式が異なる。前者は安定したエネルギー出力を得意とし、後者はエネルギーを最大出力を得意とする。どちらも一長一短であるが、時と場合により、エネルギーの扱いを分けられる人…