自然を裏切り、神を裏切り、、、そこにどれだけ罪を感じることか。[888/1000]

二つ二つの場にて早く死ぬ方に片付くばかりなり。そう願っても死に切れぬ、現代人としての堕落につくづく嫌気がさす。

今日の住宅は省エネである。高気密高断熱を施し、夏は涼しく冬は暖かく、健康に良いとされる住宅である。だが考えてみれば、そもそも省エネとはなんだ。エネルギー効率を上げ、地球資源を節約することで、光熱費は安く、環境にも良くなるというが。冗談ではない。その断熱材が産業廃棄物ではないか。数十年から百年を見通せば、化学製品まみれの住宅は、自然に還らない材(ゴミ)を大量に生み出す。

快適な家で暮らせば健康にもいいという。だが、逆をいえば、それは死にきれぬということだ。自然を制服し、西洋もどきの楽園を築き上げたつもりになるが、同時に自然からは分断される。自然を信仰してきたわれわれにとって、これは信仰を失うことを意味するのではないか。自然を忘れ、神を忘れ、快適な部屋のなかで死にきれぬまま、世界に無関心となり、渦巻く虚無に背を向けて、幸福に自惚れることになるのではないか。

そう分かっていても堕落するのは、現代人の性かもしれぬ。自然を裏切り、神を裏切り、、、そこにどれだけ罪を感じることか。

 

2024.11.24