科学の鎧は大きすぎる[733/1000]

わが友よ、のがれなさい、あなたの孤独のなかへ!あなたは、いわゆる世の偉人どものひきおこす喧噪によって、耳をつぶされ、また世の小人どもの毒をもった針によって、刺されつづけているではないか?

ニーチェ「ツァラトゥストラはこう言った」

科学の鎧を砕いて。己の肉体がいまだ原始的であると気づくまで、ずいぶん身の丈に合わぬ生活を強いたものだ。生命本来の形を見失えば、身体だけでなく心まで大雑把になっていく。生活は圧縮と短縮に味を失い、言葉は伝統を失った俗物文句に染まる。少年はよく山を転がった。あくる日は川に流された。全身を粗野に殴りつけ、何度も返り討ちに遭いながら、筋繊維は引き締まり、細胞は酸素に満たされ、足裏の先端のこまやかな部分まで感覚を養った。いかにも力とは生命の本源、自然美である。動物は植物とちがい直接大地に根を張らないが、こまやかな根を通じて力を蓄える本質は同じである。生命の本源に連なろう。力の信仰。野性の賦活。

 

2024.6.21

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