兆し[702/1000]

明るい休息だ、熱もなく、疲れもなく、寝台の上に、草原の上に。

友は、烈しくもなく、弱くもなく。友よ。

愛人は苦しめもせず、苦しめられもせず愛人よ。

尋ね歩く仔細もない空気とこの世と。生活。

―では、やっぱりこれだったのか。

―愛は清々しくなる。

ランボオ,「飾画」

 

舟はすすむ。死の峡谷を抜けて。生の乳房を吸い、痩せこけた身体は蘇り、蒼白な顔面に血の気は帯びる。体温は上昇し、亡者は肉を食う。

風は歌う。蕾は膨らみ、落ち葉は焼かれ、友の記憶をめぐり、力は軍鼓に酔う。

生活は前進する。哲学を求めて。穢れを知らぬ叡智を求めて。

 

2024.5.21

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