俺は人々が砂漠に飢えているのを感じる[689/1000]

忘れ去られた砂漠の風が、心臓の奥深くを抉る。大地のひび割れた荒涼な地に、俺の手足は吸い込まれていく。追憶の鐘は鳴る。死に誘われて、今一度、魂を取り戻しに行くときが近づいている。借り物の生活を捨てて、源泉から流れ落ちたところにある、小さな湖畔に俺は辿りつけるだろうか。俺は人々が砂漠に飢えているのを感じる。だが、砂漠に行く馬鹿者など、修行僧か、生活を追われた難民か、そうでなければ、人間の街で暮らすことのできない堕落者の他にいるものだろうか。必要に迫られなければ、住み慣れた地を離れる理由もない。ああ、俺は生きることが悲しくてしかたがない。幸福な日々は、訪れるだろうか。

2024.5.8

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