無事、扉がついた。厚さ3センチの杉板を四枚並べ、それぞれを繋ぎ合わせるために、同じ3センチ厚の杉板をZを反転させた形で、上から通した。ビスは表と裏、両方から打ってある。板は雄雌のあるカフェ板を使っているので、板同士のかかりが良く、ホゾ継ぎやダボ継ぎ、接着剤で固定する必要もなく、安定した出来栄えとなった。板が黒いのは、炎で焼いたからである。炭化によって腐りを防ぐためというよりは、装飾の意味合いが強い。今度も、防腐剤のような人工塗料は使わない方針でいく。西洋の物質文明を妄信するやり方には、とことん反旗を翻すのである。

森を散策して拾ってきた適当なアカマツを、伐って取っ手にした。鋸で接着面を斜めに加工し、鉈で木の皮を剥ぎ、ヤスリで表面を磨き、上下をビスで打ちつけただけの簡単なつくりであるが、引いても押してもびくともせず、かなり丈夫な出来栄えとなった。ほんとうは、こうして自然のものを活かすのがいちばん気持ちがいい。画一的に製材された材と違って、固有の形状を持った木には、命の立体感というか、躍動感がある。たかだが取っ手一つに大袈裟かもしれないが、ドアを開ける度に、生命の息を吹き込まれる心持ちになるのである。
穴掘りやら砕石埋めやら、永遠の苦行と思われた基礎工事から、気づけばここまで運ばれた。あと少し。健気に足掻いていよう。
2025.1.28