寒い冬ほど多くのエネルギーを必要とするので睡眠は自ずと長くなる[875/1000]

17時に日が暮れる。森は静まり返り、完全な闇に包まれると、夜の獣は痛々しい啼き声で、何かを叫び始める。街では習い事を終えた小学生が帰路につく時間であるが、闇に身を沈めていると、生命は活動を終え、眠りにつく準備をはじめようとする。

寒さが厳しくなる昨今は、寝袋のなかで身を丸くする。そうして知らぬうち、早い日には18時に眠りにつく。今日、小学生ですら18時に眠る者はいないだろう。電気のついた明るい部屋で、日付が変わるまで熱心に勉強している者もあるし、遊びに夢中になって夜更かしする者もある。だが、森のなかにいると、それがいたって自然に行われる。人間を眠らせることを使命とする夜に、平伏する生命を感じる。私もまた、生命に平伏し、潔く一日を終えていく。

 

闇が追いやられ、空が薄く明るくなる頃、6時には外に出て活動をはじめる。秋冬は、一日に10時間や12時間眠ることもあるが、長すぎることもあるまい。一日8時間眠ることが、健常者の平均的な指標とされるが、人間の睡眠リズムは自然と一体であるべきではないだろうか。つまり、陽の長い夏は、生命は活動的となるが、陽の短い冬は生命は長く眠る必要がある。

エネルギーの観点から見ても筋が通っている。寒い冬ほど多くのエネルギーを必要とするわけだから、睡眠も自ずと長くなる。太陽から降り注ぐエネルギーを中心にあらゆる生命は生きているが、その太陽の軌道が低くなり、受容できるエネルギー量も減少すると、生命の運動も変わっていく。それを科学できるのかは分からぬが、太陽を中心に運動する生命の従順さに何とも感服する。

 

2024.11.11