旅路の労苦の涙を拭えよ。[736/1000]
俺の精神よ、気をつけろ。過激な救いにくみするな、鍛錬を積む事だ。―ああ、科学は俺たちの眼にはまだるっこい。 … 俺の精神が、この瞬間から絶えずはっきりと目覚めていてくれるものとしたら、俺たちはやがて真理に行き着くだろうに…
俺の精神よ、気をつけろ。過激な救いにくみするな、鍛錬を積む事だ。―ああ、科学は俺たちの眼にはまだるっこい。 … 俺の精神が、この瞬間から絶えずはっきりと目覚めていてくれるものとしたら、俺たちはやがて真理に行き着くだろうに…
ああ、純潔よ、純潔よ。 俺に純潔の夢を与えたものはこの目覚めの時だ。―精神を通して、人は『神』に至る。 ランボオ「地獄の季節」 文明は爛熟を装い、科学は人を虜にする。かつて困窮に咽び強いられた粗野で野蛮な生…
冷雨を心に留め 人の世を眺める 朝陽に連なる 碧山よ 泰平の世を彷徨うて いまだ魂は大地を問う 熊や鹿や猪は 変わらぬ山を疾駆して 猟師に撃たれた古傷を 優しく舌で舐めまわす おお 山の神秘らは 今も何処かに身をひそめ …
わが友よ、のがれなさい、あなたの孤独のなかへ!あなたは、いわゆる世の偉人どものひきおこす喧噪によって、耳をつぶされ、また世の小人どもの毒をもった針によって、刺されつづけているではないか? ニーチェ「ツァラトゥストラはこう…
「主よ、どこへ行かれるのですか。」イエスが答えられた。「わたしの行く所に、あなたは今ついて来ることはできないが、後でついて来ることになる。」 ヨハネによる福音書 13.36 「汝、我が民を見捨てなば、我、ローマに行きて今…
一方の手の指で永遠に触れ、一方の手の指で人生に触れることは不可能である。人生に対する行為の意味が、或る瞬間に対して忠実を誓い、その瞬間を立止らせることにあるとすれば、おそらく金閣はこれを知悉していて、わずかのあいだ私の疎…
父の司っている死の世界と、若者たちの生の世界とが、戦争を媒介として、結ばれつつあるのを感じていた。私はその結び目になるのだろう。私が戦士すれば、目の前のこの岐れ道のどっちを行っても、結局同じだったことが判明するだろう。 …
孤独な者よ!あなたは愛する者の道を行く。あなたはあなた自身を愛し、それゆえにあなた自身を軽蔑しなければならぬ。それは愛する者だけの知っている軽蔑だ。 … わたしの涙をたずさえて、あなたの孤独のなかに行きなさい。わが兄弟よ…
初夏だ。陽気な祭りが始まる。森に野兎が来訪し、ホトトギスが鳴いている。見て愉しみ、聴いて慰み、食って元気になる。科学と進歩の世界のなかで、居場所のない人間は百姓の魂に救われた。日本国では無価値な人間も、自然国では存在その…
たいていの人達は、晩年に及んでおのが生涯をふりかえってみた場合、自分は自分の全生涯を全くゆきあたりばったりに生きてきてしまったのだという風に感ずるようになるであろう。そうして、自分があんなにも無造作に味わいもせず通りすご…