恥じるより誇るべきだった[728/1000]
初夏だ。陽気な祭りが始まる。森に野兎が来訪し、ホトトギスが鳴いている。見て愉しみ、聴いて慰み、食って元気になる。科学と進歩の世界のなかで、居場所のない人間は百姓の魂に救われた。日本国では無価値な人間も、自然国では存在その…
初夏だ。陽気な祭りが始まる。森に野兎が来訪し、ホトトギスが鳴いている。見て愉しみ、聴いて慰み、食って元気になる。科学と進歩の世界のなかで、居場所のない人間は百姓の魂に救われた。日本国では無価値な人間も、自然国では存在その…
たいていの人達は、晩年に及んでおのが生涯をふりかえってみた場合、自分は自分の全生涯を全くゆきあたりばったりに生きてきてしまったのだという風に感ずるようになるであろう。そうして、自分があんなにも無造作に味わいもせず通りすご…
力の信仰者が義しき怒りを重んじたことと、旧約の神が”怒りの神”であったことは偶然ではあるまい。宇宙は力によって誕生し、歴史は力に刻まれてきた。イエスが愛を説いたとき、愛を支える義しき怒りを滾らせて…
蛆どもよ!耳も眼もない哀れな兄弟分よ、 見るがよい、暢気で陽気な死人が一人、貴様らの処へいま来たぞ 放蕩の哲学者、腐敗の子、蛆どもよ、 僕の遺骸を遠慮なく探し廻ってみた上で、 教えてくれ、死んだが上にもまた…
人間は変りはしない。ただ人間へ戻ってきたのだ。人間は堕落する。義士も聖女も堕落する。それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない。人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はな…
旅して人の身につける知識は苦い! 単調で小さな世界は、今日も昨日も明日もまた、 僕ら自身の絵姿を見せるに過ぎず 要するに倦怠の沙漠の中の恐怖のオアシス以外でない! ボードレール「悪の華」 運命に棄てられた旅路は、砂漠に斃…
「わたしはもうとっくに幸福などを求めなくなった。わたしが求めているのは、わたしの仕事だ」 (略) 「わたしの幸福はが重いものだということは、おまえたちにもわかっているはずだ。わたしの幸福は流れる波のようなものではないそれ…
かれらの道も、まことに暗い道だ。希望の稲妻ひとつ、もはやひらめかない! まだ光っているのは―商人の手にある黄金だけだということろでは、商人が支配するのが当然だ!もはや王侯の時代ではない。きょう日、国民と名のっているものは…
あの偉大な破壊の下では、運命はあったが、堕落はなかった。無心であったが、充満していた。猛火をくぐって逃げのびてきた人達は、燃えかけている家のそばに群がって寒さの煖をとっており、同じ火に必死に消火につとめている人々から一尺…
なんという空しさ なんという空しさ、すべては空しい。 太陽の下、人は労苦するが すべての労苦も何になろう。 一代過ぎればまた一代が起こり 永遠に耐えるのは大地。 日は昇り、日は沈み あえぎ戻り、また昇る。 風は南に向かい…